2024-09-03
両親が亡くなった場合、兄弟が相続人となり、相続財産は兄弟で共有することになります。この共有状態は法定相続割合に基づきます。
たとえば、兄弟が2人であればそれぞれが2分の1ずつ、3人であれば3分の1ずつの割合で財産を共有する形になります。これは不動産にも当てはまります。
ただし、兄弟で不動産を共有することにはいくつかの問題が生じる可能性があります。
次の世代である2次相続やその次の3次相続において、共有者がどんどん増えることが考えられます。また、共有不動産を売却する際には、全ての共有者の同意が必要です。たとえ、誰も住んでいない実家や管理が難しい土地であっても、共有者の中に反対する者がいれば、売却することができません。
さらに、2次相続や3次相続で共有者が増えると、全員の同意を得ることがますます困難になるため、不動産の売却が事実上不可能になる恐れもあります。
このような事態を避けるためにも、不動産の相続は共有のままにせず、兄弟間でよく話し合い、それぞれにとって適切な分割方法を決めることが重要です。
遺産分割協議とは、相続人全員が集まり、遺産の分け方について話し合って決定する手続きです。これは、親が遺言を残さずに亡くなった場合や、遺言の内容に問題がある場合などに行われます。協議の期限は特に定められておらず、相続人の都合に合わせて進めることができます。
しかし、相続税が発生する場合には注意が必要です。相続税の納付期限は、相続が開始されたことを知った日の翌日から10ヵ月以内と定められているため、遺産分割協議もその期限内に完了させることが望ましいです。
協議の結果合意した内容は、遺産分割協議書としてまとめる必要があります。この協議書は、相続した不動産の名義変更などに必要な正式な書類となるため、作成には司法書士や行政書士などの専門家に依頼することが推奨されます。費用は遺産総額の0.5%~1%が目安です。
相続放棄とは、相続人が相続に関する権利や義務をすべて放棄する手続きのことです。たとえば、亡くなった親に多額の借金がある場合や、被相続人の財産よりも負債が大きい場合に、相続放棄を選択することで、相続に伴うすべての債務を免れることができます。
代償分割とは、兄弟のうち一部が多くの財産を相続し、他の兄弟との間に不公平が生じた場合に、相応のお金(代償金)を支払うことで調整を図る方法です。
例えば、2,000万円の価値がある不動産を兄弟2人で相続する場合、兄がその不動産を取得したとすると、兄は弟に1,000万円の代償金を支払うことでバランスを取ります。代償金を支払う側に十分な現金がないとこの方法は実行できませんが、財産を比較的公平に分割できるため、兄弟間の不平・不満を軽減し、スムーズに相続を進めることができます。
この代償分割は、特に長男が実家の不動産を相続する場合や、事業承継で事業に関わる財産を後継者にまとめて引き継がせたい場合などによく利用されます。
換価分割とは、相続した不動産を売却し、その売却で得た現金を兄弟で分け合う方法です。すでに誰も住んでいない実家や遠方にある不要な土地などを相続した場合によく選ばれます。
代償分割では不動産の評価額について争いが生じることもありますが、換価分割はシンプルに売却額を分割するため、兄弟間で最も公平性が保たれる方法といえます。また、相続人の誰にも十分な資力がない場合でも、実行しやすい方法です。
ただし、兄弟の中にその不動産に住みたい人がいる場合や、特定の兄弟がその不動産を必要としている場合は、売却が難しくなるため、事前に兄弟間での認識の確認が重要です。
分筆とは、「土地を分ける」ことを意味し、1つの土地を複数に分割してそれぞれ登記することです。分筆による現物分割とは、不動産を物理的に分けて相続する方法で、主に利用価値のある広い土地を分割する際に選ばれます。
例えば、「都市部の便利な場所にある土地を相続したが、売却するのはもったいない」という場合には、兄弟で分筆することを検討するのがよいでしょう。また、100坪の広い土地を相続した際には、兄弟2人で分筆すれば、それぞれが50坪ずつ利用できるため、土地の利用価値を保ちながら相続できます。
このように、利用価値の高い土地を分筆することで、相続人それぞれが土地を有効に活用することが可能です。ただし、分筆によって土地の価値が下がるリスクもあるため、その点には注意が必要です。
不動産を兄弟で相続する際には、不平・不満から揉め事が発生するケースが少なくありません。円満に相続を完了させるためには、互いに譲り合い、今回ご紹介した相続方法の中から、それぞれにとって最適な方法を選ぶことが重要です。
東新有限会社には、不動産相続に関する相談に対して適切なアドバイスを提供できる専門家が在籍しています。不動産相続に関してお悩みの方や、兄弟間で意見が合わず困っている方、相続の流れや手続きについて詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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